大人向けの読み物

ブタの動物学

ブタの動物学

著者 田中智夫著
出版社 東京大学出版会
価格 3,200円税別
 題名の通り本書は、ブタを動物という角度から学問してみようという書物である。したがって、あまり実用的な養豚には役立たないかも知れない。
 ブタの祖先であるイノシシからの家畜化の歴史、ブタの品種の分化から始まり、ブタの生態、行動など多角的に捉えている。
 著者は、麻布大学の教授なので、どうしても専門の行動学に重点が置かれている。とくに、豚の感覚については新しい知見が多く述べられている。それによると、豚の嗅覚は意外に頼りにならず、豚は実際に目で見ないと食べものを探すこともむずかしいようだ。
 最後にはこれからのブタ学ということでブタの福祉や臓器移植にまで触れている。おもしろかったのはブタのしあわせに関するところである。ブタにはしあわせの感情はあるのか。少なくとも痛み、苦しみを感じていることは想像される。したがって、ブタがしあわせと感じているかどうかは別として、飢えや渇き、痛み、疾病や損傷など、明らかに苦痛を伴う状況におかないことはもちろん、行動的にもなるべく不自由のない、快適な環境を提供してやることが養豚家の努めであろう。と、筆者は語る。

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