【おいしい食べ方】

三元豚とはどんな豚?銘柄豚のご紹介、美味しいレシピから、おすすめレストランまで完全解説!

「三元豚」ってよく聞くけど、どんな豚?そんな疑問にお答えします。

目次

1 三元豚の由来

1-1 三元豚は「さんげんとん」と読む

「さんげんぶた」と読ませる銘柄豚もありますが、一般には「さんげんとん」と読みます。

1-2 三元交配方式で生まれた豚

三元豚は、肉豚生産をする時の交配方式<三元交配>から、「三元豚」と呼ばれています。三品種が元になっているので、「三」と「元」から「三元交配」と呼ばれます。「三元交配」とは、二品種を交配し、一代雑種をつくり、更に別の品種を交配する方法のことです。

三元交配方式
参考資料;「豚肉のチカラ」(2011年)財団法人日本食肉消費総合センター

1-3「平田牧場三元豚」で広く知られる

肉豚は、主にランドレース種(L)、大ヨークシャー種(W)、デュロック種(D)の交配(LWD)で作られていますが、1974年、山形県の平田牧場が、肉質の良いバークシャー種(B)を用いた三元豚(LDB)を「平田牧場三元豚」として銘柄豚販売を行い、その肉質の良さから「三元豚」の名前が、広く知られるようになりました。

平田牧場HPより
https://www.hiraboku.info/about/history/

1-4 三元豚の主なかけ合わせはLWD

3品種の豚をかけあわせて生まれる豚が三元豚ですが、最も多く生産されているのがランドレース(L)、大ヨークシャー(W)、デュロック(D)を組み合わせたLWD(エルダブリュウディー)です。

参考資料;https://www.saiboku.jp/f/contents/003

1-4-1 三元豚の母豚は2品種の掛け合わせ

生まれる子豚が大きく、乳量が多いランドレースに、気性が優しく、子育てが上手な大ヨークシャーをかけあわせて、母豚をつくります。この母豚をF1(エフワン)と呼び、雑種強勢*の力で、一度に十数頭出産するお産も、安産でのりきる事ができます。F1は、耳の大きなランドレースと、立ち耳の大ヨークシャーの外貌を受け継ぎ、大きな耳が立ち耳になる顔をしています。
*雑種強勢;異なる品種のかけ合わせで、両親を上回る能力を得る事

1-4-2 日本では、三元豚の父親は肉質の良いデュロック種がほとんど

日本で生産される三元豚は、そのほとんどが肉質の良い(サシ・<筋肉内脂肪*>が多く入る)デュロックが用いられます。また、デュロックは発育性に富み、生産現場においても好まれる品種といえます。
*霜降り肉の脂肪は“サシ”“脂肪交雑“と呼ばれ、定量分析したものを<筋肉内脂肪>と呼ぶ。

 

 

1-4-3 F1母豚(LW)は子沢山

日本で飼われる主な4品種のうち、ランドレース(L)と大ヨークシャー(W)は育成頭数(1回の分娩で育てられる頭数)が特に優れ、農林水産省発表の「家畜改良増殖目標」においても、この2品種の改良目標は繁殖成績に重きが置かれています。沢山産んで、上手に育てられる品種改良が行われています。繁殖能力の高いF1母豚を作出するための改良目標になっています。

*11頭の子豚を哺乳させるF1母豚

1-4-4 F1母豚(LW)は子育て上手

F1母豚は、子沢山と同時に子育ても上手です。雑種強勢*による強健性(体の丈夫さ)で、1年間に2.3回分娩し、年間に育てる子豚の数(離乳頭数)は22.9頭にもなります。一生涯に10回以上分娩する母豚もおり、100頭以上の子豚を育てる豚もいます。
*雑種強勢;異なる品種のかけ合わせで、両親を上回る能力を得る事

*大ヨークシャー種は性格温順で、子育て上手

参考文献;家畜改良増殖目標令和2年3月策定
https://www.maff.go.jp/j/chikusan/sinko/lin/l_katiku/

1-4-5 F1母豚(LW)の<雑種強勢効果>は大きい

母豚としての<雑種強勢*>効果は、繁殖の上での経済効果が、大きくなります。Bichard及びSmith(1972)の報告においても、Dikerson(1973)の報告においても、2品種交雑の雌系に最終父系を交配することが、最適の交雑育種システムであろうと結論しています。性成熟期、排卵数、産子能力など母豚に求められる要素が<雑種強勢*>効果によって高まる事は幾つかの文献からも報告されています。
*雑種強勢;異なる品種のかけ合わせで、両親を上回る能力を得る事

 

参考文献;日本養豚研究会誌20巻3号(1983年)M.H.FAHMYら
https://www.jstage.jst.go.jp/article/youton1964/20/3Supplement/20_3Supplement_14/_pdf/-char/ja

1-4-6 三元豚の父豚は純粋種*

三元交配で、2回目に交配される雄豚は、<止め雄>と呼ばれ、現在ではサシ<筋肉内脂肪>**の多いデュロック種を用いる事がほとんどです。しかし、豚肉に品質が重視される以前は、赤肉量に優れるハンプシャー種や、活力に優れるスポッテド種なども<止め雄>に使用されていました。また、海外ではピエトレンという赤肉量に特化した品種が使われる事もあります。三元豚の父親は、最終の肉質(肉量や美味しさ)に大きく影響するので、目的とする肉質の遺伝率を高めた純粋種*を用いています。
*純粋種:同一品種間で生まれた豚で、その品種特性を受け継ぐ豚。他品種が混じらない事を証明する血統登録書が必要となる。
**筋肉内脂肪:霜降り肉の脂肪は、“サシ”“脂肪交雑”と呼ばれ、定量分析したものを“筋肉内脂肪”と呼ぶ。

1-4-7 父豚は味を決める

繁殖能力を高めた母豚(F1:ランドレース×大ヨークシャー)は、肉の「柔らかさ」や「香り」に影響するサシ<筋肉内脂肪量>*が少なくなってしまいます。木全誠らの報告によると、デュロックは純粋種の中で最もサシ<筋肉内脂肪量>*が多く、デュロックを<止め雄>にすることで、三元豚は母豚と父豚の中間の脂肪含量(サシ)を有します。肉の「味」に影響を与える遊離アミノ酸**も、三元豚を構成する純粋3品種の中間値を示しましたが、同じく「味」に関与するイノシン酸(核酸5’-IMP)***は、三元豚が一番高い値を示しました。母豚系統は繁殖能力を向上させる改良が行われているので、肉質向上のためには<止め雄>(デュロック)の肉質を向上させる必要があります。
*筋肉内脂肪:霜降り肉の脂肪は“サシ”“脂肪交雑”と呼ばれ、定量分析したものを“筋肉内脂肪”と呼ぶ。
**遊離アミノ酸:舌の味蕾に接触して味を伝達するアミノ酸。
***イノシン酸:グルタミン酸・グアニル酸とともに三大うま味成分といわれる。

*三元豚の(筋肉内)脂肪量、遊離アミノ酸量は構成する純粋種の中間値を示した。脂肪は香りに、遊離アミノ酸は味に影響するとされる。
参考文献;日本養豚学会誌38巻2号「豚肉の理化学成分と官能検査の関係」木全誠(埼玉種畜牧場)ら
https://www.jstage.jst.go.jp/article/youton1987/38/2/38_2_45/_pdf

1-4-8 父豚は肉量を決める

鈴木啓一(宮城県畜産試験場)らは、LW母豚にデュロック(D)、バークシャー(B)、梅山豚(M)のそれぞれを<止め雄*>として、各三元交雑豚の発育・産肉能力の比較検討を行い、LWDの三元交雑豚が発育・産肉能力ともに最も優れていることを報告しました。ロース長や背脂肪厚などの差から、正肉歩留まり(お肉の取れる割合)はデュロックの<止め雄>が有意に高いと言えます。
*止め雄;三元交配で、2回目に交配される雄豚

*LWDが最も脂肪が少なく、赤肉量が多い。正肉歩留まり(お肉の取れる割合)が最も高い。

1-4-9 父豚は発育を決める

父豚<止め雄>の違いによって、三元豚の発育も違ってきます。デュロックを<止め雄>にした場合(LWD)は、バークシャーや梅山豚を<止め雄>にした場合(LWB、LWM)より、105kg到達日齢が早く、飼料要求率も低くなり、生産性で有利となります。

*LWDは「日増体重」が最も高く、「飼料要求率(1kg太るために必要な餌の量)」が最も小さい。生産性の高い豚といえる。
参考文献;日本養豚学会誌30巻1号「三元交雑種LWD,LWB及びLWMの発育、産肉能力の比較」
鈴木啓一(宮城県畜産試験場)ら

1-5 三元豚の表示ルールはない

1-5-1 「黒豚」表示のルール

食肉公正競争規約(消費者庁及び公正取引委員会)の「食肉公正競争規約」には、「黒豚」「バークシャー種」に関しての表示のルールが定められていますが、「三元豚」に関しては、表示のルールはありません。

1-5-2 三元豚は三元交配であることを規定する事が望ましい

<産地等表示食肉の生産・出荷等の適正化に関する指針(3)-4)ア/((公社)中央畜産会)>によると、<品種の組み合わせ(交配様式)及び系統名を規定することが望ましい。>とあり、「三元豚」は「三元交配」であることを規定することが望ましい事になります。
~以下、抜粋~
≪食肉については、そのもととなる肉畜の種類によって食肉としての特性が異なることから、牛、豚、鶏等の別を明示することは当然であるが、畜種によっては品種の違いにより、消費者に与える品質上のイメージについての予見を与える要素を無視し得ないことから、特定の名称の下に生産・出荷される食肉のもととなる肉畜の品種についても規定することが適当である。
なお、豚、鶏をはじめとして、交雑種が生産の対象となっている事例が多数見られるが、交雑種については、その交配様式等によって形態、性能が異なり、飼養管理面においても差異があることから、交雑種については、産地等表示を行う対象肉畜としての実態を明確にしておくことが適当と考えられる。このため、品種の組み合わせ(交配様式)及び系統名を規定することが望ましい。≫
参考文献;お肉の表示ハンドブック2019 全国食肉公正取引協議会https://www.ajmic.or.jp/kumiai/2019pdf/2019handbook.pdf

2 三元豚の味と肉質

LWD(三元豚)の肉質は、両親となる品種と差異はあるものの、その両親間の肉質と突出して違いがあるものではありません。元となる各純粋種の肉質(理化学的特性値)差異の範囲内にほぼ収まり、両親の理化学特性を受け継ぐとされています。

参考文献;新編 畜産大辞典(1996年) 田先威和夫監修 養賢堂

2-1 豚肉の肉質を示す3つの指標

LWDの肉質は、「加熱保水性」、「伸展率」、「皮下脂肪融点」などの食味に関する数値において、元となる各純粋種の範囲内となります。

2-1-1 ジューシーさを示す「加熱保水性」

加熱したときに肉汁が流出せず、肉中に留まる割合です。加熱保水性が高ければ、ジューシーな肉と言えます。

2-1-2 柔らかさを示す「伸展率」

肉に圧力をかけ、圧縮したときの面積値から算出します。肉を噛みしめた時の柔らかさを示します。数値が大きいほど柔らかく感じます。

2-1-3 脂の口溶けを示す「脂肪融点」

脂肪融点は、固形の脂肪が溶け出す温度です。豚の脂肪融点は33~46℃、牛の脂肪融点は40~50℃といわれています。脂肪融点が高い肉は、ベタベタしにくく、脂肪融点が低い肉は、サラサラと口溶けが良いとされています。融点は脂肪酸組成(脂肪成分)によって変わり、美味しさの指標とされるオレイン酸を多く含むと融点は下がります。近年は脂肪融点だけではなく、その脂肪酸組成も注目されています。
参考資料:「美味しさ評価」(一社)食肉化学技術研究所
 http://www.shokunikukaken.jp/inspection/tasty/

3 三元豚の肉質・味は個体差が少ない

三元豚は、成長のバラツキが少なく、肉質の「個体差」が小さいです。品質の安定性が必要となるブランド豚には必要な事項です。

3-1 三元豚は健康に育つ

三元交雑の目的の一つが、雑種強勢*効果による肉豚の強健性(体の丈夫さ)獲得にあります。強健性が高くなることは、疾病に対する抵抗力が高くなり、すべての豚が健康に育ちます。純粋種よりも、発育遅れなどの成長のバラツキがなくなり、肉質の「個体差」が小さくなります。また、肉質に影響を及ぼす父豚<止め雄>の遺伝力が高いことも大切です。
*雑種強勢;異なる品種のかけ合わせで、両親を上回る能力を得る事

~兄弟“そっくり”が重要~

3-2 父親譲りでサシ(筋肉内脂肪*)が多く入る

三元豚の基礎となる3品種のうち、父豚となるデュロック種は最も筋肉内脂肪が多い品種です。筋肉内脂肪が多いと、柔らかい食感と脂肪の香りを強く感じます。
*霜降り肉の脂肪は“サシ”“脂肪交雑“と呼ばれ、定量分析したものを<筋肉内脂肪>と呼ぶ。

3-2-1 サシ(筋肉内脂肪)は3%以上

欧米では、一時、赤肉嗜好が強く、筋肉内脂肪量も低下しましたが、食味も低下し、現在では2.5%程度の筋肉内脂肪が必要であるとされています。日本では、テーブルミートが主体なので、3%以上が最良値であるとの報告*があります。
*参考文献;畜産の研究65巻9号「豚肉の品質と銘柄豚」兵頭勲(埼玉種畜牧場)

*筋肉内脂肪が5%以上入るロース肉

3-3 母親譲りで肉キメ(筋繊維)が細かい

お肉のキメが細かいと、口当たりがよく、お肉を柔らかく感じることができます。筋繊維を調査したところ、大ヨークシャー種が一番細かく、ランドレース種が一番太い結果となりました。三元豚は構成する3品種の中間の値となり、母豚の筋繊維の細かさを受け継ぐ形となっています。

*三元豚の筋繊維径は調査豚の中間値であり、加熱損失率(保水性)は最小値となって、ジューシーな肉であることを示した。

胸最長筋の顕微鏡写真(WLD/サイボクゴールデンポーク・ロース肉)

4 三元豚の栄養成分

豚肉の肉質は、飼料などにも影響を受け、一概には三元豚の栄養成分を示すことは出来ません。しかし、品種の違いで脂肪の質などに違いがあります。三元豚(LWD)などの大型種と黒豚(バークシャー)などの中型種の栄養成分を比較してみます。

4-1 三元豚(大型種)は脂肪が少ない

三元豚(大型種)は、中型種に比べて脂肪が少ないです。ロース肉で大型種が19.2%、中型種が22.6%であり、ヒレ肉を除きどの部位でも三元豚(大型種)の脂質が少なくなっています。

4-2 三元豚(大型種)の脂肪酸は中型種より少ない。

三元豚(大型種)の脂肪酸量は、脂質量が少ないのに伴い、飽和脂肪酸・一価不飽和脂肪酸・多価不飽和脂肪酸のいずれも、ヒレ肉を除き少なくなっています。美味しさの指標とも言われる“オレイン酸”を多く含む一価不飽和脂肪酸は、ロース肉で大型種が、7.68%、中型種が9.86%と中型種のほうが多く、中型種は、良質な脂肪を多く作る豚と言えます。

4-3 三元豚(大型種)はタンパク質が多い

三元豚(大型種)は、中型種に比べて蛋白質は多いです。ロース肉で大型種が19.3%、中型種が18.3%であり、ヒレ肉を除きどの部位でも三元豚(大型種)のタンパク質が多くなっています。

*一価不飽和脂肪酸は、美味しさの指標<オレイン酸>がほとんど。中型種はオレイン酸の多い品種といえる。

5 豚の品種

5-1 ランドレース

デンマーク原産。デンマークの在来種に大ヨークシャーを交配して成立した白色の大型種(オス330kgほど、メス270kgほど)で、横から見た体型は横長で流線形(くさび形)、顔は長く、まっすぐな鼻、耳が垂れている外見が特徴。背脂肪が薄く赤肉の量が多いため、ベーコンなどの加工品の使用に適しています。

参考資料;https://www.saiboku.jp/f/contents/003

5-1-1 ランドレースは、国内で一番飼育されている純粋品種です。

日本には、1960年に初めて、米国アイオワ州より伊勢湾台風の被災見舞いとして導入されて依頼、大型で肉量も多く、他の品種と比べ、飼料要求率(1kgの体重を増やすのに必要な資料量)も低く母豚としても優れているため、純粋種としては、国内で一番多く飼育されている品種です。

5-1-2 ランドレースは、三元豚の母豚の掛け合わせに広く利用されています。

産子数(分娩で生む子豚の数)が多く、泌乳量も多いため、育つ子豚も多く、繁殖能力に優れているため、三元豚の母豚として、掛け合わせに広く利用されています。

*流線型(くさび型)の体形が特徴のランドレース

5-2 大ヨークシャー

イギリスのヨークシャー原産。毛色は白色で雄、雌ともに350kg程度(500kgを超す雄もみられる)に育つ大型種で横から見た体型は長方形で体積に富んでおり、顔は長めでわずかにしゃくれています。原産国のイギリスでは「ラージ‣ホワイト」種と呼ばれています。脂肪と赤身の割合が均等でベーコンなどの加工肉の原料として多く利用されます。

参考資料;https://www.saiboku.jp/f/contents/003

5-2-1 大ヨークシャーは、日本人のイメージに一番近い外見をした純粋種です。

豚の絵を描いてもらった時に、日本では一番多い外見も持った品種です。ピンク(白色)の肌に立った耳で、映画「ベイブ」や「豚がいた教室」でも登場しています。

5-2-2 大ヨークシャーは、三元豚の母豚の掛け合わせに広く利用されています。

三元豚での役割としては、足腰が強く、性質がおとなしく、子育て上手、産子数も多く保育能力にも優れているため、お母さん豚としての掛け合わせに広く利用されています。

*英名:Large White、略称はWhiteの頭文字「W」。母性の強い品種。

5-3 デュロック

アメリカ原産。雄で約380kg程度、雌で300kg程度の大型種。赤褐色や褐色の毛色は、日本人の多くがイメージするピンク(白色)の豚のイメージと異なります。脂肪分を豊富に含んだジューシーな肉であり、筋肉内脂肪量も、他のお母さん豚(ランドレース・大ヨーク)より多く、脂肪の他にも水分量と保水性にも優れており、旨味を逃がしにくい肉であるとも考えられます。産子数が多く、成長スピードが早く、強健で暑さに強いのですが、純粋種としての飼養・販売は多くありません。

参考資料;https://www.saiboku.jp/f/contents/003

5-3-1 デュロックは、三元豚の肉質を差別化する父豚(止め雄)として広く利用されています。

デュロックは、産肉能力(肉量・肉質)に優れているため、三元豚のお父さん豚(止め雄)として産肉性や肉質(サシが入る)の遺伝目的として多く利用されています。数多くある三元豚の中で、血統による「肉質」の差別化を図るため、特徴を持った系統の改良に力が入れられおり、各三元豚生産農場でも気に入った系統のデュロックを種豚場から導入することが多いようです。純粋種としての販売は、多くはありませんが、肉質に特化したデュロック純粋種の銘柄豚「伊達の純粋赤豚」は、一般的な三元豚より高価ですが、とても評価は高くなっています。

*三元豚の<止め雄>として多く利用されるため、発育や肉質の改良が行われている。

5-4 ハンプシャー

ケンタッキー、マサチューセッツ州の原産。黒色の体に背から前肢にかけて入る帯状の白斑が特徴。
産子数はやや少ないが、保育能力に優れ、発育。飼料効率も良い。背脂肪が薄く筋肉量が多く、モモ肉も充実しており、アメリカでは好まれ、現在でも多数飼育されている。日本では、以前はよく飼養されていたが、加工品での豚肉消費が多いアメリカとは異なり、「サシ」の入る精肉消費での肉質が好まれる点からも(むれ肉も多かった)日本での三元豚使用では、デュロック種に置き変わりました。

*背から前肢への白帯が特徴。肉量は多いが、ムレ肉(保水性がなく加熱するとパサつく肉質)発生が多い。

畜産の情報-海外情報 米国における豚肉の需要と供給の現状- 2017年8月 https://lin.alic.go.jp/alic/month/domefore/2017/aug/wrepo01.htm

5-5 バークシャー

イギリス・イングランド南東部(バークシャー州)原産で産地の名前が付けられています。日本での「黒豚」の呼び名の通り、全体が黒色ですが、顔と4本の足先と尾の先が白い「六白」が、特徴とされています。250kg程度の中型種で大型種である大ヨークシャーと比べると100kgほど軽い。体形は長方形、顔はわずかにしゃくれている。純粋種(黒豚)として販売されることが多い理由は何といっても「美味しさ」です。中型種であるため、筋繊維が細く、きめが細かいため、お肉の保水性が高く、ジューシーで、甘みや旨味を示す数字も高く、融点の低いさっぱりとした脂肪で高品質な肉質です。しかし、良いことづくめに感じますが、1960年代の高度成長期に脚光を浴びるものの、その後、成長が早く多産な大型の白色豚が多く使用され減少しました。その後、バブル期といわれる時代になると「より美味しいもの」をと再び脚光を浴びたことで、「偽黒豚」が販売されたこともあり、黒豚として販売する条件が定義される事でも話題になりました。三元豚では、大型種を利用した「効率優先」ではなく「味」で差別化するために、掛け合わせに用いられるようになりました。

 

*イギリス系バークシャーは、しゃくれた大きな顔が特徴。

「彩の国黒豚」100年の歴史 | JA全農さいたま  https://www.zennoh.or.jp/st/product/kurobuta/history.html

かごしま黒豚とは | 沖田黒豚牧場  https://www.okita-pork.com/

黒豚はなぜ美味しい?その理由や黒豚の特徴を徹底解説 | 肉の通販ガイド|牛・豚・鳥のおすすめ通販 https://bbb-nagano.com/

参考資料;https://www.saiboku.jp/f/contents/003

5-6 中ヨークシャー

中ヨークシャー種はイギリスヨークシャ—州原産の中型の白色豚。日本へ導入されてからは、当時の養豚が食品廃棄物を餌として利用することが多かったことから、人の集まる都市部での飼養も多く、日本の気候にも合い飼いやすく、何より美味しさ(柔らかい肉質・脂肪の質の良さ)から、昭和30年代頃まで日本の豚の95%を閉めていた程、当時の日本養豚における代表品種といえます。しかし、その後、日本経済の発展に伴い、豚肉の生産でも育成の早い効率の良い大型種に押され、現在では、幻の豚と呼ばれるほど取り扱いは、非常に少なくなっています。美味しさという点では、誰もが認める品種でしたが、三元豚に限らず「生産性」を重視するうえで大きく数を減らしてしまいました。

*しゃくれ顔と細い骨が特徴。発育は遅いが、野菜くずなど粗食にも耐えられる。

参考資料;幻の豚・中ヨークシャーの特徴 – 富士幻豚(ふじげんとん)公式WEBサイト (fujigenton.com)
参考文献;「世界家畜品種辞典」(2006年) 東洋書林出版 正田陽一監修 畜産技術協会企画編集
「日本の家畜・家禽」(2009年) 学研プラス出版 小宮輝之著 秋篠宮文仁監修

 

5-7 金華豚

金華豚は中国浙江省金華地区を原産とする中型の豚です。この地域における養豚の歴史は古く、西晋(AD265~316)の頃の遺跡から陶猪が出土しています。また、気候が温暖で湿潤な為、飼料条件が良かったことも養豚が発展した理由の一つです。反面、この気候は豚肉の輸送にとっては大変不利なものであり、そこで考えられたのが、加工品製造です。世界に名高い現在の「金華火腿(きんかハム)」の製造法が確立したのは今から約400年前のことでした。このハムを作るために改良されたのが金華豚で、皮膚は薄く、骨は細く、早熟で肉質の良いものが求められました。体系外貌の特徴として、成豚の体重は100~120kg、頭と臀部が黒く、額にはシワがあり、腹は大きく下垂し、四肢は細いなどが挙げられます。繁殖成績のうち、分娩頭数は10~12頭と大型種と変わりませんが、生時体重は700g前後と小さいです。哺育能力は高く、分娩柵等がなくても、圧死は皆無であったという報告があります(日本国内導入時)。産肉能力について、中国の資料ではDG(日増大量)464g、FC(飼料要求率)3.65(生体16~76kgの間)という報告がありますが、日本での調査ではそれよりもやや劣るようです。また、枝肉も脂肪が多く、ロースが小さく、日本規格からすると等外品となってしまいます。

*肉量は少ないが、肉のキメ細かさや脂肪の質が良いことが特徴。

5-8 アグー

アグーとは、沖縄で約600年前に中国から渡来し飼育されていた「琉球島豚」に西洋種(バークシャーとされている)を掛け合わせて作られた100kg前後の小型種です。外見は全身黒毛、長めの鼻で、四肢は短く、前出の中国系豚の「金華豚」のように腹が垂れており、ラードタイプ特有の体型をしています。アグーの肉は、低コレステロールでアミノ酸を多く含み食味も良く、脂身に甘さがあります。しかし、成長が早く効率的な大型種の導入により、飼養効率が優先されたこともあり、一時的に30頭ほどまで数を減らしました。その後、沖縄県にしかいない貴重な遺伝資源として、アグーの復活を望む人たちの努力により、増産が図られていますが、以前として頭数は少ない貴重な豚です。通常の三元豚が約180日を目安に出荷体重(110kg)まで成長するところ、アグーでは240日間程度掛かります。混同されがちな平仮名での「あぐー」は沖縄県農業協同組合の登録商であり、アグーの血を50%以上有することを条件としてブランドの品質を守っています。
アグーでもその美味しさを引き継ぎながら、飼養効率を上げるため、三元豚の作成もされており、デュロック種の母豚にバークシャー種の雄豚を掛け合わせた雑種豚(DB)にアグーの雄豚を掛け合わせた「やんばる島豚」が有名です。

*アグーが、琉球から島津藩によって鹿児島に渡り、最初の黒豚伝説が始まったとも言われる。

あぐ〜について | あぐー応援団(JAおきなわ銘柄豚推進協議会)公式ウェブサイトhttp://agu-pr.jp/
沖縄の在来豚「アグー」とブランド豚肉の「あぐー」 https://www.alic.go.jp/content/000124596.pdf
ブランド肉ドットコム  http://brand-meat.com
品種、銘柄のこと – 島豚七輪焼 満味|沖縄県名護市|やんばる (manmi-yanbaru.com)
(社)全国養豚協会「養豚全書」より https://www.ajmic.or.jp/kumiai/2008pdf/p72-74.pdf

6 三元豚の歴史

6-1 中型種の時代(明治~)

明治政府の重職であった大久保利通は畜産振興をはかり、欧米人に負けない体躯をつくって、富国強兵策に努めようとしました。明治時代の後半、日清・日露戦争時には、軍の食料として豚肉需要が高まり、養豚が活発になってきます。この時、飼養されていたのは英国原産の中ヨークシャーやバークシャーの中型種で、日本の気候や飼料事情が英国と類似していた事によると言われています。

*日本で飼われた中型種は英国原産種。どちらもしゃくれた鼻が特徴。
参考資料;養豚の歴史 | 一般社団法人日本養豚協会       https://jppa.biz/story/history/

6-2 大型種の時代(昭和35年~ )

昭和35年(1960年)、前年に発生した伊勢湾台風の「被災見舞い」として、米国アイオワ州から35頭の大型種(ハンプシャー、ランドレース、ミネソタ2号、ミネソタ3号の4品種)が、姉妹都市関係の山梨県に寄贈されました。この時、同時に飼料用のトウモロコシ1,500tも贈られ、大型品種を配合飼料*で育てる現在の飼養方式が、日本で始まるきっかけとなります。翌36年、民間種豚場である㈱埼玉種畜牧場(現;㈱サイボク)が、英国よりランドレース17頭を直輸入、また、翌37年にはランドレース、大ヨークシャーなどを欧州から75頭直輸入し、その産子を全国の農家に頒布、飼育方法もあわせて、大型品種の普及に努めました。最も多く頒布されたランドレースは、全国の農家で純粋生産や、それまで飼養されていた中ヨークシャーやバークシャーなどの中型種との一代雑種として多く利用されました。
*配合飼料;トウモロコシや麦、粕類、ミネラルなどを栄養設計に基づいて混合・加工した飼料

*埼玉種畜牧場50年史より;英国よりランドレースを輸入、増殖して、今度は全国へ販売。
参考資料;山梨県とアイオワ州の姉妹交流の記録 https://www.mmdb.net/usr/digiken/Yamanashi_Iowa/page/A0001.html
参考文献;侵略する豚 青沼陽一郎(2017) 小学館
参考文献;養豚大成(1979) 笹﨑龍雄 養賢堂
参考文献;埼玉種畜牧場 50年史(1996) ㈱埼玉種畜牧場

参考資料;https://www.saiboku.jp/f/contents/001

6-3 三元豚の時代(昭和40年頃~現在)

昭和40年代(1965年~)に入ると雑種生産が盛んになり、昭和41年には49.4%が交雑豚となります。40年代中頃にはハンプシャー、デュロック、チェスターホワイト、スポッテッドなどの大型種が米国より輸入され、それまでのランドレース・大ヨークシャーの一代雑種(F1)に、にこれらの大型種を交配した三元交雑豚が生産されるようになり、昭和50年には78%が三元交雑豚となります。

*雑種豚数は昭和55年まで増加し、その後バークシャー(黒豚)や合成豚(ハイブリッド豚)が増えている。

参考資料;家畜関係資料 農林水産省畜産局畜産課
https://www.maff.go.jp/j/chikusan/sinko/lin/l_katiku/zyosei/pdf/buta_h1804.pdf
参考文献;養豚大成(1979) 笹﨑龍雄 養賢堂
;埼玉種畜牧場 50年史(1996) ㈱埼玉種畜牧場

7 三元豚の基礎となる<系統造成豚>

系統造成豚とは、良い特徴を持たせるために改良された豚

7-1 大型豚の輸入は肉豚のバラツキを生んだ

養豚における雑種利用は、昭和35年のランドレース輸入によって始まりました。ただし、無計画な雑種生産は肉豚のバラツキを招きました。肉量のある豚・ない豚、発育の早い豚・遅い豚などのバラツキは、農家の生産性や市場での流通などに影響しました。

7-2 肉豚のバラツキは高い遺伝力でなくす

このバラツキを修正する為に、阿部猛夫(家畜改良事業団)は昭和39年日本養豚学会において、遺伝的にバラツキが少ない集団<系統>の作育を提言します。昭和44年に農林水産省が<豚の系統造成>を5県(茨城、愛知、埼玉、富山、鹿児島)に新規補助事業として取り上げ、実施に移されます。

 

*写真;系統豚第1号「ローズL(ランドレース)」。茨城県の銘柄豚“ローズポーク(三元豚)”として、その名前は受け継がれる。
写真;「日本の系統豚・2023(令和5)年7月」一般社団法人 日本養豚協会(JPPA)より

7-3 <系統造成豚>は強い遺伝力を持つ

雑種生産を行うにあたって、各純粋種に求める形質*(雌系は繁殖性など、雄系は増体重など)の遺伝力を高め、肉豚の“母親似”“父親似”のバラツキを小さくするのが<系統造成>です。母豚に利用されるランドレース(L)、大ヨークシャー(W)は“繁殖能力”が子供に強く遺伝するように、父豚に利用されるデュロック(D)は“肉質”が強く遺伝するように改良され、<系統造成豚>と呼ばれています。
*形質;髪の色や、背の高さなど遺伝の影響を受けて現れる、個々の個体が持っている特質。ここでは「遺伝形質」のことを指す。
参考文献;日本養豚学会誌27巻2号「豚の系統造成法に関する研究とその実際的応用」
阿部猛夫((社)家畜改良事業団)

8 肉質を決めるのは「系統」

家畜には、「系統」と呼ばれる家系があります。

8-1「系統」とは家系

「系統」とは「血統」や「家系」のこと。先祖がわかる家系図を、家畜では「系統図」と呼びます。一般に、系統を知る機会はありませんが、豚では県が作る<系統豚>やブリーダー(種豚生産者)名が、<系統>と扱われることがあります。茨城県の銘柄豚“ローズポーク”は茨城県の系統豚“ローズ”が家系となる三元豚です。和牛では父牛の名号から、分類される系統がわかりますが、一般にはあまり目にする機会は少ないです。

8-2 同一品種でも「系統」で違う

黒毛和牛では「田尻系」「藤良系」「気高系」などの系統があります。和牛では古くから「系統」のことを「蔓・つる」とも呼び、重要視してきました。

8-2-1 黒毛和牛「田尻系」の特徴

体が小さいが、肉質が良い。肉質で優れた“紋次郎”は「田尻系」に分類されます。

8-2-2 黒毛和牛「藤良系」の特徴

肉量が多く、ロース芯も大きい。「糸桜系」とも呼ばれ、“第7糸桜”(島根県)の子孫で構成された血統。多くの黒毛和牛に影響を与えた“北国7-8”もこの系統。

8-2-3 黒毛和牛「気高系」の特徴

発育が良く、子育てが上手い。増体に優れる“平茂勝”(鹿児島県)もこの系統。鳥取県のブランド牛「オレイン55」は気高の血統を引き継ぐという条件がある。
参考文献;「黒毛和牛の三大血統」http://beef-lab.com/?p=417

8-2-4 目的とする肉質を考慮して系統を選ぶ

和牛生産では、母牛の特徴や目的とする肉質を考慮して、交配する父牛の系統を選んでいます(牛は能力検定を済ませた雄牛を凍結精液で交配をする)。

*2022種雄牛案内((一社)家畜改良事業団);雄牛(凍結精液)のカタログ、血統、検定成績、育種化(遺伝的能力)などが記載されている。

参考資料:但馬地方の『蔓牛』と飼養文化・奥州市
https://www.city.oshu.iwate.jp/section/ushi/03_back/archives/01/30.pdf

8-3 三元豚も選ぶ「系統」で肉質が変わる

豚の場合は、牛のように「凍結精液」が一般的ではないので、個々の母豚に合わせて交配を行うことは出来ませんが、目的とする肉豚に合わせて、三元豚を構成する純粋種の「系統」を統一する必要があります。発育重視か肉質重視かで選べば、使用する「系統」は変わってきます。同じ目標で世代を重ねて改良された系統豚は、その目標とされた能力を子孫に伝える「遺伝力」が高くなります。

8-4 系統豚の組み合わせ(ニッキング)で変わる肉質

雄系と雌系の組み合わせで、生まれる子豚の肉質は変わります。これを“ニッキング”とよんで、雄と雌の相性の良し悪しがあるとされています。千葉県畜産総合研究センターの報告で、千葉県の系統豚「ボウソウW」と「ボウソウL3」から作られるF1母豚(LW)と家畜改良センターの系統豚「ユメサクラ(D)」、宮城県の系統豚「しもふりレッド(D)」、民間種豚場㈱サイボクのD種とのニッキング試験が報告されています。その中で、生産される三元豚の発育、産肉性及び上物率でユメサクラD、サイボクDとの相性が良いとされ、肉質ではユメサクラDとの相性が良いと報告されています。

 

*ユメサクラDの肉豚が、ジューシーさと柔らかさで優れていた。

*サイボクDの肉豚がせん断力価やテンシプレッサーの結果で食感が良いとされた。

参考文献;千葉県畜産総合研究センター研究報告(2007)「止め雄の違いが三元交雑豚LWDの産肉性と肉質へ及ぼす影響」高橋圭二ら
https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010751513.pdf

9 全国の系統豚

2022年には21の系統豚が国や各都道府県において維持・繫養されています。

*維持系統豚は維持施設にて、繁殖が繰り返されながら繫養されています。

9-1 東京X (トウキョウ エックス)

9-1-1 東京都の系統造成豚

東京X(トウキョウ エックス)は平成2年(1990年)から東京都畜産試験場が高肉質豚を作る目的で、3品種の合成豚による系統造成試験を開始しました。平成9年(1997年)には系統豚として認定され、東京Xの生産が開始されます。翌平成10年には精肉の販売が開始され、東京都以外の生産者も東京X豚の生産を開始しました。平成30年(2018年)には年間1万頭が出荷されるようになります。

*“東京X”という<純粋種>。3品種の合成豚を質的に固定した。

9-1-2 東京Xの名前は交雑3品種のクロスの意味

東京Xの名前は交雑3品種のクロスの意味と、未来への可能性を込めて命名されました。系統造成豚では初の3品種からなる合成豚です。北京黒豚、バークシャー、デュロックの3品種を、品種別に考えられる、24通りの総当たり交配を行い、BULP法*(推定育種価)による選抜で作出されました(BULP法使用は系統造成豚で初めて)。北京黒豚は東京都・北京市の友好都市交流で、技術者間の交流中に見いだされた、味覚の優れた中国種です。
*BULP法;BLUPは、最良線形不偏予測値(Best Linear Unbiased Predictor)の略。コンピューターの計算能力向上によって、飼養環境がバラバラなデータを、同条件下として能力評価が出来るようになった。

*デュロック・バークシャーの写真は東京X造成に使われたものとは関係ありません。

9-1-3 東京Xはサシ(筋肉内脂肪量)が選抜の基準

東京Xは、系統造成豚で初めて「サシ(筋肉内脂肪量)」を選抜形質*に選びました。霜降り肉の脂肪を一般に「さし」と表現していますが、東京Xの系統造成時に、東京都畜産試験場の兵頭勲は、IMF(intra muscular fat・筋肉内脂肪量)とし、数値化された選抜形質のひとつとしました。通常の三元豚が2~3%のIMFに対し、東京Xは5%以上のIMFを実現しています。その後の系統造成豚の中には、選抜形質にこのIMFを入れるものがみられるようになります。
*選抜形質:目標とする特徴。肉質を良くする目標であれば、肉質の良い豚だけを親豚に使い、世代を繰り返す。この場合選抜形質は「肉質」。

*細かくIMF(筋肉内脂肪)がみられる東京X豚ロース肉

*テクスチャー(食感)、多汁性(ジューシー感)、味でLWD豚より優位に高い評価となっている。
参考資料;「Tokyo-X豚の育種とその肉質」食肉の化学vol42、no2(2001年)兵頭勲

9-1-4 東京Xの毛色は様々

東京Xの毛色は、黒か褐色または褐色の地に黒の斑点など多様です。外観のバラツキはありますが、毛色と枝肉の関係はなく、枝肉の斉一性は極めて純粋種に近いものとなっています。

*毛色は様々だが肉質はブレない。
参考資料;写真;公益財団法人東京都農林水産振興財団HP「トウキョウX開発秘話」兵頭勲より
https://www.tokyo-aff.or.jp/anniversary_sub/episode1.html
参考資料;トウキョウX生産組合HP
https://tokyox.jp/about

9-2 しもふりレッド

9-2-1 宮城県の系統造成豚(デュロック)

しもふりレッドは、宮城県が東京都に次いで、「サシ(筋肉内脂肪量)」を選抜形質に取り入れた系統造成豚です。選抜形質は東京Xと同様に、一日平均増体重、背脂肪厚、ロース断面積、筋肉内脂肪割合(IMF)です。平成6年(1994年)に系統造成に着手、平成13年(2001年)に完成、認定を受けました。筋肉内脂肪(IMF)が4~5%と、肉質に優れた系統豚です。

*写真;宮城県HPより
https://www.pref.miyagi.jp/images/26699/105146.jpg
参考資料;動物遺伝育種研究vol32(2004年)「豚の産肉、肉質及び生理的形質間の遺伝的関連」鈴木啓一ら
https://web.archive.org/web/20181030195620id_/https://www.jstage.jst.go.jp/article/abgri2000/32/1/32_1_29/_pdf
参考資料;豚肉の生産科学(2022年、東北大学出版会)鈴木啓一著

9-2-2 「伊達の純粋赤豚」は、しもふりレッド

宮城県の伊豆沼農産が販売する「伊達の純粋赤豚」は、しもふりレッドを純粋交配して生産した、デュロック種の豚肉です。毛色が赤い(褐色)ことから赤豚と名付けられ、年間800~1000頭を精肉・食肉加工品として販売、香港への輸出も行い、その品質は高く評価されています。

*霜降りの和牛が高評価の香港では豚肉も霜降り肉が人気
参考資料・写真;農業生産法人伊豆沼農産HPより
https://www.izunuma.co.jp/

9-2-3 「宮城野豚(ミヤギノポーク)」はしもふりレッド<止め雄>の三元豚

JA全農みやぎが販売する、しもふりレッドを<止め雄>にした三元豚です。きめ細やかな肉質で、食味の良い豚肉です。

*三元豚とすることで、安定した生産頭数が確保できる。
写真;JA全農みやぎHPより
https://www.zennoh.or.jp/mg/agriculture/livestock/pork.html

9-3 フジザクラD/B

9-3-1 フジザクラD/Bはデュロックとバークシャーの合成豚

フジザクラD/Bは、山梨県が平成24年(2012年)に認定を受けた、東京Xに次ぐ、2例目の合成豚による系統豚です。その名前はデュロック種(D)とバークシャー種(B)の合成豚であること、毛色がダークブラウンであること、「美味しい雄豚」という意味のデリシャス・ボアから頭文字のDとBをとって「フジザクラD/B」と命名されました。

*東京Xと同じ手法で作られた、フジザクラD/B。肉質に優れた品種同士の合成豚。

9-3-2 「甲州富士桜ポーク」の<止め雄>はフジザクラD/B

フジザクラD/Bを<止め雄>に生産された三元豚が、富士桜ポーク生産組合員によって、飼育マニュアル・統一飼料で育てられ、㈱山梨食肉センターで屠畜、山梨県銘柄豚普及推進協議会に認定された豚肉が「甲州富士桜ポーク」となります。肉のキメが細かく、柔らかい食感で口の中でとろける脂肪の質が特徴です。

*バークシャー由来のキメの細かい肉質と甘みのある脂肪が特徴

参考資料・写真;山梨県HPより
https://www.pref.yamanashi.jp/chikusan/kousyufujizakurapork.html

9-4 ユメサクラエース

9-4-1 「ユメサクラエース」は(独法)家畜改良センターが造成したデュロック種

6次産業化や海外輸出を考える生産者から、筋肉内脂肪量(IMF)が多い高品質豚が欲しいという要望に応えて、家畜改良センター・宮崎牧場が系統造成を行ったのが「ユメサクラエース」です。基礎豚の雌は発育能力に優れ、筋肉内脂肪量の多い系統豚「ユメサクラ」、基礎豚の雄も筋肉内脂肪量の多い「しもふりレッド」「ゼンノーD-02」「米国SGI社」からの導入精液で系統造成が行われました。平成27年(2015年)系統造成豚の認定が行われ、各地の養豚場・畜産試験場などで活躍しています。

*筋肉内脂肪増加にウエイトを置いた改良が行われた。

9-4-2 「ユメサクラエース」は産肉性も良好

「ユメサクラエース」は1000g/日を超える一日平均増体重で、独自の“つなぎ評価”(つなぎ:肢蹄の関節)を行うことにより、強い肢蹄を持つ、強健性の高い系統造成豚といえます。

*ユメサクラエースは全国平均のデュロック種よりも増体重やロース芯面積で優れている。
参考資料・写真;独立行政法人家畜改良センターHPより
http://www.nlbc.go.jp/kachikukairyo/kairyozoshoku/buta_kyoukyu.html

9-5 系統造成豚の作育方法は閉鎖群育種

系統造成豚は閉鎖群育種で作られます。閉鎖群育種とは、特定のグループの豚だけを選び、ほかの豚とは交配させずに、そのグループ内だけで、子豚を作り続ける方法のことを指します。

参考資料;独立行政法人家畜改良センターHP
閉鎖群育種  http://www.nlbc.go.jp/miyazaki/heisagun/

9-6 <豚系統>の認定には血統登録が必要

(社)日本種豚登録協会(現(一社)日本養豚協会)は、「豚系統認定規定」を制定、その内の「豚系統認定基準」を満たすものを系統豚として認定しています。基準は、血統登録(種豚登録等)がなされていることや、群内血縁係数が20%以上(どの個体をとっても従兄弟の関係に近い集団)あることなどが必要となります。

*「種豚登録証明書」家畜改良には血統管理が大切

参考文献;畜産技術2019巻773-oct号「閉鎖群育種の機運」石井和夫(国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構畜産研究部門)
https://doi.org/10.57546/livestocktechnology.2019.773-Oct._31

参考資料;https://www.saiboku.jp/f/contents/002

10 三元豚の主なブランド豚

10-1 銘柄豚の78%は三元豚

㈱食肉通信社発行の「銘柄豚肉ハンドブック2016」によると、掲載される415銘柄のうち322銘柄(78%)が三元豚でした。銘柄豚として広く認定されるためには、定量・定質が重要な要因となり、肉豚の生産性や品質の安定性から、銘柄豚の多くは三元豚(三元交配)となっています。特に、品質にこだわる銘柄豚の中には、<止め雄*>に中型種(バークシャーなど)を用いたり、母豚づくりの<なか雄**>に中型種を用いたりして、一般的な三元豚(LWD)と差別化を図る銘柄三元豚もあります。
*止め雄;三元交配では、2回目に交配される雄豚(肉豚の父親となる豚)。
**なか雄;三元交配では、最初に交配される雄豚(肉豚の母方の祖父)。

参考資料;https://www.saiboku.jp/f/contents/003

10-2 もちぶた(もち豚)

脂肪が白く、かたく締まっているところから“もち”豚と呼ばれています。

10-2-1 国産豚の4.5%はもちぶた(もち豚)

「もち豚」は「和豚もちぶた」をはじめ、「みちのくもち豚」「越後もち豚」「鹿児島もち豚」など「○○もち豚」は全国各地に生産農場があります。「銘柄豚ハンドブック2016」には12銘柄の「○○もち豚(ぶた)」が掲載されており、もち豚銘柄の総年間出荷頭数は727,000頭余り、日本の総生産頭数は約1,600万頭なので、実に4.5%が「○○もち豚」という事になります。この「○○もち豚」もランドレース種と大ヨークシャー種、デュロック種の三元豚です。

図;グローバルピッグファームHPより  www.gpf.co.jp

10-3 平牧三元豚

肉質にこだわった、銘柄豚。

10-3-1 「平牧三元豚」は組み合わせが違う

畜産用語であった「三元豚」を世に広めるきっかけになったのが「平田牧場三元豚」です。
<止め雄>にバークシャー種(黒豚)を用いることにより(LDB)、一般に流通している三元豚(LWD)に比べ肉質重視の銘柄豚販売を行っています。また、平田牧場では更に肉質にこだわり、「金華ハム」で知られる<金華豚>を止め雄にした三元豚「平牧金華豚」も生産しています。

*肉質にすぐれる「金華豚」(平田牧場HPより)https://www.hiraboku.info/about/brand/

10-4 白金豚プラチナポーク

国産飼料にもこだわる高品質な肉質は海外でも高評価。

10-4-1 白金豚は黒豚が父親

バークシャー種(黒豚)を<止め雄>に用いて(LWB)、肉質にこだわった銘柄豚が「白金豚プラチナポーク」です。止め雄のバークシャー種譲りの、お肉のキメの細かさと脂肪の甘さが特徴。香港など海外でも、その肉質は高く評価されています。

*白金豚プラチナポーク
参考資料・写真;高源精麦株式会社HP
白金豚プラチナポーク (meat.co.jp)

11 輸入豚肉も三元豚

豚を世界で一番飼養しているのが中国で、世界中の豚の約半数(449,224千頭)を占めています。中国でも1980年代より、デュロックを止め雄とする三元豚が多く生産されています。
参考文献;日本養豚学会誌27巻1号「中国豚の品種及びその利用」鄭丕留
https://www.jstage.jst.go.jp/article/youton1987/27/1/27_1_1/_pdf/-char/ja

11-1 カナダ

養豚の盛んな西部マニトバ州では、麦類の生産が盛んで、飼料に麦類を用いることで、日本人好みのさっぱりした豚肉が生産されています。

11-1-1 カナダでは日本向け三元豚を生産

カナダ・マニトバ州から輸入されている「ハイライフポーク」もランドレース×大ヨークシャー・デュロックの三元豚です。飼料も麦を中心とした専用飼料を用いて、日本人好みのサッパリした脂肪が特徴です。
カナダではハイライフ社だけでなく、「ハーブ三元豚」など多くの生産者とパッカー(屠畜・カット部門)が日本向け豚肉の生産にのり出しています。

*図;株式会社HyLife Pork Japan HPより

https://hylifepork.com/about/
https://www.primaham.co.jp/products/meat/index_overseas.html

11-2  スペイン

スペインは世界第3位の豚肉生産国です(34,454千頭飼養)。日本への輸出量はEU最大です。

11-2-1  スペインの約9割は三元豚

日本のEU産豚肉は長年デンマークが最大の輸入先でしたが、2018年以降スペインが最大の輸入先となっています。スペインで飼養される豚の11%がイベリコ豚で、それ以外はランドレース・大ヨークシャー、デュロックの三元豚が占めています(スペイン白豚生産加工者協会・2022年)。
スペイン白豚生産加工者協会は、スペイン産豚肉の日本向けキャンペーンを行っており、日本への輸出強化を図っています。

参考文献;畜産の情報・(独法)農畜産業振興機構「スペインの養豚産業の現状及び輸出戦略」(2022年5月)
https://www.alic.go.jp/joho-c/joho05_002146.html

11-2-2 イベリコ豚とはイベリア種

イベリコ豚は、地中海原産でイベリア半島に定着した在来種「イベリア種」のことです。イベリコ豚の認定を受けられるのは、<イベリア種>の純粋種と<イベリア種×デュロック種>の雑種になります。イベリコ豚は、飼料や飼育方法で、3種類に分類されています

*ドングリを探すイベリア種
参考文献;畜産の情報・(独法)農畜産業振興機構「イベリコ生ハムの生産現場から」(2009年4月)
https://lin.alic.go.jp/alic/month/domefore/2009/apr/gravure03.htm
参考資料;指定の公示について(第110号)農林水産省
https://www.maff.go.jp/j/shokusan/gi_act/designation2/110.html

11-3 アメリカ

アメリカは、中国に次ぐ世界第2位の豚肉生産国です(74,146千頭飼養)。エサとなるトウモロコシの生産量は世界1位で、トウモロコシ主体の飼料で養豚が行われています。

11-3-1 アメリカの豚肉輸出の15%は日本向け

アメリカでは、アイオワ州、ミネソタ州、イリノイ州、において養豚が盛んです。この地域は「コーンベルト」と呼ばれ、豚用の飼料であるトウモロコシが豊富に収穫できることから、養豚産業が発展してきました。しかし、日本向けの豚肉は、日本人好みのお肉を作る、麦主体の飼料を与えた豚が、生産されています。また、品種も脂肪交雑が多く、柔らかい肉質のデュロック種を止め雄とした三元豚が作られています(「麦仕上げ三元豚」・「アイオワの恵み」など)。

*スターゼン株式会社HPより
https://www.starzen.co.jp/product/import_america.html
参考文献;畜産の情報・(独法)農畜産業振興機構「豚肉輸出量、日本向けが大幅に減少」(2022年8月)
https://www.alic.go.jp/joho-c/joho05_002503.html

12 四元豚とは4品種の掛け合わせ

三元豚は、3品種を掛け合わせた雑種豚を肉豚としたもので、四元豚も、4品種の掛け合わせた雑種豚を、肉豚とするものです。三元豚は、F1(一代雑種)雌に純粋種の雄を交配しますが、四元豚は、F1母豚にF1雄豚(1代雑種同士の交配)を交配する方法や、F2(2代雑種)に純粋種の雄を交配する方法で生産された肉豚が「四元豚」と呼ばれています。

12-1 一代雑種(雌)×一代雑種(雄)の四元豚

多く見られた四元雑種の交配方法で、三元豚の母豚となる事が多いLWの一代雑種母豚にHD(ハンプシャー×デュロック)の一代雑種雄豚を<止め雄>とする交配方法です。このほかにも<止め雄>にSD(スポッテッド×デュロック)などを利用する生産者もいました。一代雑種豚が<止め雄>に使われなくなるのとともに、ハンプシャーやスポッテッドなどの雄系純粋種は日本では飼養されなくなりました。

12-1-1 一代雑種<止め雄>のメリットは高い繁殖性

<止め雄>に、一代雑種を使うメリットは、高い繁殖性です。島根県立畜産試験場の報告では、純粋雄(L種)に比べて、F1雄は精子濃度・全精子数ともに優れています。同時に交尾欲が強いことも報告されています。

*平成6年10月以外はF1雄が精子濃度、全精子数ともに優れている。

*顕微鏡でみる豚精子

12-1-2 一代雑種<止め雄>のデメリットは厚脂による上物率低下

一代雑種を<止め雄>にした場合の四元豚は、枝肉格付けの上物率が非常に低い事です。これは、骨や筋肉の成長速度より、食欲や消化吸収活動が旺盛で、余剰に摂取したエネルギーが、体脂肪になり蓄積されることが原因です。島根県立畜産試験場の試験では、三元豚が通常60%~70%の上物率なのに対し、四元豚は、去勢豚で17%、雌豚で50%でした。また、発育スピードも四元豚は、去勢豚と雌豚での差が大きく、生産される肉豚のバラツキもみられます。
*<上物率>;食肉市場に出荷される豚肉の格付けで、通常、極上・上・中・並・等外の5段階に評価される。上物率とは出荷豚のうち、極上・上に評価された頭数割合。脂肪厚や肉付きなどが評価の基準。格付けが良いほど高値で取引されやすい。

*写真;豚枝肉(重量・脂肪厚・肉付きなどで格付けが行われる)
参考資料;島根県立畜産試験場研究報告「交雑種雄豚の繁殖、産肉性能試験(第2期)」(1997年)
https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010562096.pdf

12-2 二代雑種(雌)×純粋種(雄)の四元豚

二代雑種(一代雑種の雌豚に別の雄を交配した三元交雑豚)に、純粋種の<止め雄>を交配する“四元豚”もブランド豚として登場しています。<止め雄>を純粋種にすることにより、一代雑種×一代雑種で起きるような肉質や発育のバラツキは少なくなります。三元豚で多いLWDの組み合わせでは、母豚に繁殖能力、雄豚に肉質を求めていますが、四元豚では母豚に繁殖と肉質の両方を求めています。日本では、四元豚の生産者は多くありませんが、昭和40年以降、止め雄系の大型種(ハンプシャー、スポッテッド、チェスターホワイトなど)が多く輸入されていたころにはLHW・Dなど母豚改良に二代雑種が使われたこともあります。

*LC(ランドレース×チェスターホワイト)母豚。強健で、写真の母豚は14回の分娩を行った。

12-3 四元豚ブランド

12-3-1 シルキーポーク

住友商事と住友フーズが、スミスフィールド社(米国ヴァージニア州)及びゴールズボロ農場(米国ノースカロライナ州)と共同開発したのが、「四元豚シルキーポーク」です。日本の消費者のマーケティング調査を行い、日本人の嗜好に合わせた豚肉生産を行っています。従来の三元豚の品種(ランドレース・大ヨークシャー・デュロック)に、脂肪交雑(筋肉内脂肪)が入りやすい「チェスターホワイト種」を加えた四元豚(LCW・D)です。アミノ酸バランスを調整した、独自飼料を給与して、甘みのある脂肪と柔らかい肉質が特徴です。

*豊富な脂肪交雑が特徴
参考資料・写真;住商フーズ株式会社HPより
https://www.scfoods.co.jp/business/brandpickup/silkypork.html

13 合成豚(ハイブリッド豚)とは

ハイブリッド豚とは、雑種強勢効果を利用するため複数の品種を交配し、作出した豚です。主に海外の種豚会社が造成を行い、その原々種豚や原種豚が日本に輸入され、日本国内の種豚会社から種豚が生産農場へ供給されています。
参考資料;農林水産省HPより
https://www.maff.go.jp/j/chikusan/sinko/lin/l_katiku/attach/pdf/butakenkyuu-8.pdf

13-1 ハイブリッド豚は均一性が高い

ハイブリッド豚は均一性が高く、飼養頭数の拡大時には、バラツキのない種豚(種雌豚)を揃えることができます。日本では、養豚経営の規模拡大が進むにつれ、ハイブリッド豚を利用する生産者が増えてきました。

*一戸当たり飼養頭数が増加するにつれ、海外ハイブリッド豚を利用する生産者が増えている。
表)「豚の改良増殖をめぐる情勢」農林水産省生産局畜産部(令和元年)より
https://www.maff.go.jp/j/chikusan/sinko/lin/l_katiku/attach/pdf/butakenkyuu-8.pdf

13-2 ハイブリッド豚は海外で造成

ハイブリッド豚は日本の商社や飼料会社が携わり、1970年代後半からハイブリッド種豚の供給システムが構築されてきました。ハイブリッド豚を生産しているのは、イギリス、オランダ、アメリカなど欧米の種豚会社です。

13-2-1 ケンボロー(イギリス:PIC社)

イギリスのPIC(Pig Improvement Company)社の供給する種豚。日本ではイワタニ・ケンボロー株式会社によって供給されています。日本では、雌系2系統、雄系3系統が供給され、目的とする肉質に合わせた種豚選択ができます。

*日本向け雌系種豚“ケンボロー35”

*高い総産子数と哺育率で、一母豚当たり年間31頭以上の出荷。平均出荷日齢も158日と発育も早い。

参考資料・写真:イワタニケンボロー株式会社HP
http://www.camb.co.jp/profile/

13-2-2 ハイポー(オランダ:ヘンドリックス・ジェネティックス社)

“Hybrid Pork(ハイブリッド・ポーク)”から名付けられたのがハイポー。ハイポーは世界35ヵ国で事業展開を行い、日本ではPrifoods・プライフーズ株式会社から種豚が供給されています。高い生産能力と、日本の食卓に求められる美味しい豚肉の両方を追求している種豚です。ハイポー社は、全世界からの年間43万頭分の母豚データを元に、BLUP法(推定育種価)を用い改良を行い、さらにDNA遺伝情報を元にしたゲノムセレクションによって、繁殖性と効率性が大きく向上しています。

*肉質にもこだわるハイブリッドメーカー。
参考資料・写真;プライフーズ株式会社HPより
https://www.prifoods.jp/business/hypor/

13-2-3 バブコック(アメリカ:バブコックジェネティックス社)

バブコックは、㈱バブコックスワインジャパンが供給するハイブリッド豚です。増体速度・飼料要求率・産肉性に優れた豚で、強健な肢蹄と温順な性格により、集団飼育に適しています。また、㈱バブコックスワインジャパンでは、「完全閉鎖群自家更新(バブコック式輪番交配)」も推奨しています。最初に種豚群を導入した後は、人工授精用精液のみで、種豚更新を行い、外部からの生体導入を無くすというものです。これにより、疾病侵入のリスクや更新費用を低減できます。

参考資料;㈱バブコック・スワイン・ジャパン
http://babcock.co.jp/

14 おいしい三元豚を味わうなら、人気トンカツ店がおすすめです。

下記、ランキングにあるとおり、日本国内での飲食店では、和食店に属する「トンカツ・かつ丼」を提供するチェーン店が増加傾向にあります。そこで、国産のこだわり三元豚を使った人気のトンカツ店をご紹介。

【2022年版】飲食店チェーンの店舗数ランキング|日本ソフト販売株式会社 (nipponsoft.co.jp)

14-1 THE PORK SHOP

埼玉県内にある元米軍居留地を利用したおしゃれな町ジョンソンタウン内にあるアメリカンな空間と陽気な音楽の中で、美味しい豚肉料理が味わえる人気店です。トンカツ通の中であがる名店が使用することが多い「林SPFポーク」を使用。

使用三元豚:林SPFポーク
品種:LWD
生産者:株式会社林商店 肉豚出荷組合
特徴:特定の病原菌を持たないSPF豚を用いることで病気治療回数を減らすことで、受けるストレスを
少なくし、こだわりの飼料により「肉の柔らかさ・脂の甘さ・軽さ」を特徴とする三元豚。
住   所:〒358-0002 埼玉県入間市東町1丁目5−8平成ハウス24 S
THEPORKSHOP – Google マップ
連絡先:04-2941-4471
おすすめ:上ローストンカツ 1,800円

THE PORK SHOP 入間@JOHNSON TOWN | 株式会社KAFKA

*トンカツの他にも、林SPFポーク使用のハンバーグも美味です。

14-2 トンカツ マンジェ

大阪府八尾市にあるとんかつ専門店で鹿児島の黒豚、宮崎のあじ豚、そしてTokyo X等の厳選されたブランド豚を使用しています。メニューはとんかつ単品と各種定食があり、お持ち帰りメニューも豊富です。こだわりがある豚を使ったトンカツを食べようと常に行列が出来る繁盛店です。

使用三元豚:あじ豚(提供銘柄豚の1例です。)
品種:WLD
生産者:宮崎第一ファーム
特徴:あじ豚は、宮崎県で生産されているオリジナルブランド豚です。まろやかでさっぱりした脂の風
味が特徴。宮崎第一ファームが、おいしい(オリジナル飼料)、安心、健康な豚(敷料の土づくり)を追求して育てています。

住所:〒581-0086 大阪府八尾市陽光園2-3-22
連絡先:050-5487-6802
おすすめメニュー:あじ豚&特上ヘレとんかつ

とんかつ マンジェ – 八尾の極上とんかつ屋   https://tonkatsumanger.com/

とんかつマンジェ – Google マップ

有限会社宮崎第一ファーム | 宮崎県 | あじ豚 (miyazakidai1farm.com)

14-3 とんかつ石亭 高森本店

仙台市という場所柄から楽天イーグルスの選手やフィギュアスケートの羽生結弦選手からも支持される人気店。注文が入ってから切り身にして、低めの油の温度でじっくり揚げるというこだわり調理と柔らかさと脂のおいしさと肉質にバラつきがないことから、三元豚「ゴールデンポーク」のみを取り扱っています。

使用三元豚:ゴールデンポーク
品種:WLD
生産者:株式会社サイボク
特徴:自社での優れた種豚の血統管理に力を入れた「きめ細やかな」お肉の柔らかさと適度なサシに融
点が低い「さっぱりした脂肪」が特徴。
住   所:〒 宮城県仙台市泉区高森6-8-10
連絡先:022-377-1701
おすすめ:ロースかつ定食 1,460円

地図 : とんかつ石亭 高森本店 – 泉中央/とんかつ [食べログ] https://tabelog.com/miyagi/A0401/A040104/4001996/

*石庭高森本店内には、沢山のスポーツ選手も来店されています。

14-4 手頃に三元豚を味わえるトンカツチェーン店は、「とんかつ和幸」「かつや」がおすすめです。

厳選した輸入三元豚のお肉を使用し。手頃においしいトンカツを食べるなら、チェーン店がおすすめ。
なかでも、特に評価も高く店舗数も多いため、利用しやすいお店を紹介。

【とんかつチェーン店】人気ランキングTOP15! 第1位は「とんかつ和幸」に決定!【2021年最新投票結果】(1/4) | チェーン店 ねとらぼ調査隊 (itmedia.co.jp)

15 おいしい三元豚はどこで買える?

15-1 日常的に使用する国産三元豚は、近隣の食品スーパーでの購入がおすすめです。

日常の食事で三元豚を利用する場合、近隣のスーパーマーケットで購入が良いでしょう。本記事内でもあるように、国内で生産する8割近くが三元豚であり、店頭に並ぶためには一定の品質が必要なため、売り場にならぶ「国産豚肉」は、ほぼ三元豚と考えて良いでしょう。

精肉に強い食品スーパーはどこ?消費者調査でわかる主要8スーパーの実力と支持される理由 _小売・物流業界 ニュースサイト【ダイヤモンド・チェーンストアオンライン】 (diamond-rm.net)

15-1-1 おいしい三元豚の選び方①ブランド豚を選ぶ

ブランドを掲げて豚肉を販売するということは、次回も買っていただくリピート顧客になってもらうため。質の良くない豚肉の場合、逆効果になってしまうことも。看板を背負って販売しており、その店舗でのプロの仕入れ担当のお眼鏡にもかなっているため、安定した高品質の豚肉が期待できるでしょう。

15-1-2 おいしい三元豚の選び方②肉色・ドリップ(肉汁)無し・白い脂・適度なサシがある

特にブランド豚ではなく、国産豚肉(三元豚)という場合、肉食が赤みのあるピンク色で、ドリップ(赤い汁)が出てなく、脂は白いものを選ぶと良いでしょう。ロース肉の場合、適度にサシが入っているものがおすすめです。

15-2 コストコ

日本へ輸入される豚肉の中で1,2位を占めるのは、「アメリカ」「カナダ」産です。近隣スーパーでも大抵、国産豚肉・輸入豚肉の取り扱いを見かけるかと思います。輸入豚肉を購入する理由として、「価格」は大きなポイントになるかと思います。そこでメディアでも取り上げられることが多いのがコストコ(コストコ・ホールセール)。コストコでは、大容量で販売することで、質の高い輸入豚肉がとてもリーズナブルなお値段で購入することが出来るため、利用したことのある方も多いのではないでしょうか。大容量での販売のため、その保存方法や調理方法が、ネット上でも多数紹介されています。なかでも麦を多給したカナダ産豚肉は、臭みも少なくさっぱりとした脂で人気があります。

コストコオンライン – 公式サイト | Costco Japan   https://www.costco.co.jp/

15-2-1 カナダ産豚肉

コストコで扱う豚肉の中で、特に人気があるのが「カナダ産三元豚」です。肩ロースやバラ肉、ヒレのような一般的な部位から、スペアリブまで幅広く取扱いがあります。食べても麦を多給したさっぱりとした脂と臭みも少ないことも人気の理由でしょう。価格は国産豚肉より3割程度安くお買い得ですが、大容量での販売のため、美味しく保存する方法を確認しておきましょう。

15-2-2 味の素 三元豚のとんかつ 810g

精肉ではありませんが、コストコの三元豚肉商品の中で非常に人気が高い商品です。ひと口より少し大きめの冷凍カツで、電子レンジで温めるだけと使いやすくおいしいため、お弁当に使う方も多いようです。大量に製造され、同じ質が求められる冷凍食品であるため、三元豚が、利用されています。

コストコのお肉のおすすめ・人気ランキング30選!牛・豚・鶏など種類別に料理も紹介!| ちそう (chisou-media.jp)

15-3 全国のこだわり三元豚を試すなら、ネット通販がおすすめです。

今まで、お伝えしてきた通り、国内生産豚肉の大半を占める三元豚。そのなかでも「銘柄豚」として名前を付けて販売=品質に責任・自信をもって販売していることの証。スーパーで見かける三元豚より、高価なことが多いものの、和牛ほど高価でもなく、こだわりの三元豚の味は、試してみる価値ありです。ご自身のアンテナを頼りにおいしい三元豚を探してみるのも良いでしょう。

ハム・お肉の専門店|サイボク【公式通販サイト】 (saiboku.jp)

15-3-1 食べチョク

食べチョクは「利用率」「利用意向」「認知度」「SNSフォロワー数」「Webアクセス数」「生産者認知度」等で高評価を得ている国内のECサイトで、農家さんや漁師から直(チョク)接商品を(中間業者を挟まず)届けてもらえるため、鮮度の良い野菜・果物が購入できることで評判ですが、豚肉についても大手サイトではあまり見かけないこだわりのブランド豚肉に出会える可能性も高く、生産者ごとの思いを読みながら選べるという楽しさもあり、おすすめです。

食べチョク|産地直送(産直)お取り寄せ通販 – 農家・漁師から旬の食材を直送 (tabechoku.com)

16 三元豚を家庭でおいしく食べるレシピは、「しゃぶしゃぶ」「生姜焼き」です。

豚肉の生食は禁止されている(細菌や寄生虫感染の恐れがあるため)ため、火を通して食べることが前提ですが、火を通しすぎるとパサついて美味しさが半減してしまいます。そこで、ご家庭でも失敗が少ない
ロースやバラ・モモ等体の部位によって、味や食感も異なる

16-1 こだわりの三元豚を試してみるなら「しゃぶしゃぶ」

茹でるだけのシンプルなレシピだからこそ、「お肉本来のおいしさ」が楽しめるため、自宅で簡単においしい豚肉が食べたいという時に、こだわりの三元豚を試してみるときにおすすめです。お好みもありますが、脂肪を適度に含んだ肩ロースやロース、バラの部位が人気です。

16-2 三元豚の生姜焼き

豚肉料理の人気ランキングでも上位に選ばれることが多い「生姜焼き」がおすすめです。多くの方に選ばれるのは、しょうがの香りに対して「牛肉では、肉の香りが勝ってしまい、逆に鶏肉ではしょうがの香りに負けてしまう」そうです。そのため、程よくしょうがの香りとマッチする豚肉が、生姜焼きによく合います。

生姜焼きはなぜ豚?唐揚げはなぜ鶏? | 管理栄養士/トレーナー加藤のボディメイクblog
https://ameblo.jp/318846/entry-11827644933.html 
豚肉料理の人気ランキングTOP10!角煮やとんかつをおさえて1位に選ばれたレシピは?
https://macaro-ni.jp/113675

豚肉の部位の特徴とおすすめメニュー。もう悩まない!おいしく調理する方法を解説! – ミートピアライフ | サイボク (saiboku.co.jp)

豚肉でダイエット!豚肉がダイエットに適した4つの根拠と、食べ方、おすすめレシピのご紹介。 – ミートピアライフ | サイボク (saiboku.co.jp)