大人向けの読み物

ぶたの本

ドキュメント屠場

著者 鎌田 慧
出版社 岩波新書
価格 640円
 屠場…。そこは鍛え上げられた職人芸が、商品としての食肉の味と価値を左右する世界だ。日本人の肉食の歴史とともに歩んできた労働現場の実像と、いわれなき職業差別と身分差別にさらされながら、合理化の波に抗して伝統の技と熟練を守りつづける誇り高き労働者たちの気概を、反骨のルポライターが描く。(巻頭言より)
 本書は、芝浦、横浜、大阪市場を中心に屠場の歴史と現状、そこで働く人々の言葉を紹介している。読後の感想としては、少し卸売市場寄りの考え方に偏っている感じがする。また、歴史は歴史、現状は現状というように分けて書いて欲しかった。それと、差別問題がどうしても強調されてしまう。問題は問題として現状とは別に論じて欲しかった。
 ただ、面白かったのは、横浜屠場の若手の従業員の話しである。古株の従業員とは違って、明るく、さっぱりしている。かといって職業に対するこだわりは持っていて、現代の若者にしては考え方がしっかりしている。これからの屠場再編の世の中、古い体質の屠場は消えて行き、こうした若い世代が新しい屠場を担っていくのだろう。そこでは、機械化だけでなく、職人芸をも取り入れた日本独自の屠場のあり方が展開されていくのだろう。

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