大人向けの読み物

雲南の豚と人々

雲南の豚と人々

著者 写真・文 伊藤真理
出版社 JTB
価格 1500円税別
 中国は雲南省に魅せられ、現地の豚を撮り続けている伊藤真理さんの「雲南シリーズ」の第二弾である。今回は、焦点を豚だけではなく、雲南に住む人々にも当てている。農村の様子、町並み、生活文化、食などを取り上げることで、豚との結びつきがより鮮明にわかりやすくなった。
 それにしても、豚の表情がとても豊かなことには驚かされる。道路の真ん中で寝そべる豚、母豚の後を必至で追いかける子豚たち、夕方、家の扉を開けて帰宅する豚、子供に抱かれる子豚、どれをとっても家畜としてだけではなく、動物としての魅力、そして、これほどまでに人間の生活に入り込んでいるという事実を再認識させられる。
 著者は、雲南の変化は豚を通しても理解できるとしている。かつてはあちこちで、野放しの豚が見られたが、近代化の波を受け、徐々にそんな光景を目にすることが少なくなったという。そして、養豚も近代化し、近代種を配合飼料で飼うようになった。人々は豚を飼うのを止め、市場で豚肉を購入するという形に移行しているという。かつて、日本がたどってきた過程を、まさに今、雲南も経ようとしているのである。
 多忙な毎日を送る身にとっては、ページをめくり、眺めているだけで、なぜかホッとさせられる一冊である。

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