大人向けの読み物

ぶたの本

聖豚公伝

著者 立松和平
出版社 朝日新聞社 価格 570円税込
 ニュースステーションでもおなじみであった立松和平氏の残飯養豚に対する賛歌とも言うべき作品である。
 都市化の進む新興住宅地で昔から残飯養豚を続けてきた老人哲治とその孫で養豚を手伝いながらロックする青年六平、家出少女うさぎとその父親でリストラされたサラリーマンの長山の4人を中心にストーリーは展開する。哲治と六平は売れ残りの菓子パンやレストランの残飯で豚を飼っているが、周りの住民からは公害問題で立ち退きを迫られる。大量の残飯を出しておきながら、その処理には無関心で、ただ自分たちの目の前から臭い、汚い養豚場が消えて無くなってくれればいいと思っている住民の身勝手さは、飽食社会に対する警告だ。主人公六平の家も家出少女うさぎの家も家庭崩壊しているが、彼らがひとつの養豚場に集まって本来の人間の生活を取り戻していく姿は現代の家族のあり方にも疑問を投げかける。
 豚の分娩風景、逃げ出した豚の描写のしかたなど、表現が生き生きとしていて、作者は実際に養豚農家でかなり生活し、体験をしてきたのではないだろうか。豚がとてもうまく描かれていて感心した。

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