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豚著者 アンドルー・カウアン訳者 三浦彊子 出版社 翔泳社 価格 1800円 |
| 15歳の主人公、ダニーの語るこの物語は少年が慕っていた祖母の死で始まる。イングランド北部のある町はずれの住宅団地に祖父母の家はあったが、働き者の祖母は年老いた豚を庭で飼いながら野菜を育て、病気で片脚を失った祖父の面倒をかいがいしく見ていた。ダニーは残された豚と菜園の面倒を見ながら、老人ホームに入れられた祖父を毎日見舞い、近くに引き取ろうと考えている。クラスメートのパキスタン人の少女、スリンダと共に、豚や菜園の世話をしながら、彼らはふたりだけの世界を築き上げる。 ダニーの視線は単に個人に向けられるだけでなく、崩壊した家庭や、変貌する地域社会、押し寄せる開発の波、労働者階級の日常や彼らのなかに潜む差別意識といったものをも照らし出す。 この物語では、我々日本人がイギリスあるいはイングランドに持っている美しい農村風景のイメージとはほど遠い、暗く、重苦しい風景ばかりが展開される。少年の家庭は崩壊状態で、町や社会の雰囲気も殺伐としている。とくに、パキスタン人に対する差別の表現は、こちらが痛々しくなる程激しい。 とかく、皇室や貴族ばかりが取り上げられるイギリスの暗部を描いた作品として注目したい。 | |
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